JR高田馬場駅の早稲田口を出て信号を渡ると、味のある小さなお店が並ぶ坂道がある。
その一角の中でも一際、古いお店が「里」だ。
店名が消えかかった年季の入ったファサード、小さな空間の中にカウンターと幾つかの丸椅子。
中々の赤提灯上級者でないと、いきなり飛び込むのは容易ではないだろう。
しかし、二の足を踏んでいる場合ではない。
とても70歳を超えているとは思えない若々しいマスターが小さなコンロとフライパンから繰り出す、数々の料理は間違いのない味。
そして、こちらの名物と言えば、何と言っても「カレー」だ。
じっくり、じっくり、丁寧に2日間かけてあめ色になるまで炒められた大量の玉ねぎを使用したサラサラの自家製カレールーは、甘み、香ばしさ、うま味がぎゅっと凝縮されており、
故・ウガンダ・トラ氏が残した、「カレーは飲みもの」という格言を地で行くものであり、
また、酒のつまみとしても最適な「呑めるカレー」でもある。
実はマスター、若いころに今も名店として名高い、銀座のとあるインド料理店で腕を振るっていたというのだから、さもありなん。
カレーと酒を交互にやりながら、頭上のテレビから流れるニュースをネタに他愛のない話を偶然隣り合ったお客さんや、マスターとする。
ゆるやかに流れる時間を共有し、また、明日、戦うためのエネルギーをチャージ。
高田馬場で34年目。
今日も里は開いている。
今後も末永く、続けてほしい愛すべきお店だ。
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SHOP DATA
里
住所:東京都新宿区高田馬場2-19-4
営業時間:17:00頃~23:30頃
定休日:日曜日