みなさん初めまして。高田馬場に引っ越してはや4年目となるKoheiです。馴染みの店も徐々に増え愛着わいてきたこの街の魅力を発信すべく、今回初めて高田馬場新聞に投稿します!
高田馬場駅から徒歩5分。スーパーマーケット「オオゼキ」近くのやや勾配のある坂を下り終えると、地域に溶け込むように洋菓子店が存在する。店名は「梅本」。1969年創業。今年で50年を迎える地域で老舗のお店である。地域に愛される洋菓子店は今年(2019年)6月にお店を借りている建物の建て替えをきっかけに閉店を迎える。そこで店主の梅本正友さんにお話を伺いました。
― 高田馬場に開業される前はどちらで修行されていたのでしょうか ―
最初は文京区にある洋菓子の卸屋で働いてました。入社したての時はお菓子は作らせてもらえず、自転車で喫茶店や洋菓子店に配達をしていました。お菓子を作らせてもらえるようになっても、最初は材料の下ごしらえから始めて、次にカステラのような焼き物、最後に仕上げをやりました。長崎カステラはとても作り方が難しかったです。7年程そのお店で働いて次が荒川区のケーキ専門店。専門店だけどコーヒーをだすレストランもやってたお店です。3年ほど働いたけど、結婚して子供が生まれたのをきっかけに独立を決めました。
― この宮田商店街にお店を始めたきっかけを教えてください―
昭和44年9月に今の建物ができたときにね、賃貸を募集していたのでお店を開業しました。それまで他にも物件を探してたけど、手元のお金が少ないので家賃が高くてね、ここにしました。あれから50年。結局うちが最初で最後の店子になりました。
― 創業された当時はいかがでしたか ―
ケーキだけだと厳しくて3年で赤字になりました。夏はケーキが売れないので夜はバイトに行ってました。機械で生産されるアイスクリームカップの詰め合わせのバイトです。朝早くケーキを作って夜はバイト。昔はアイスクリームやせんべいも扱ってましたが、業者から仕入れているから薄利。結局やめました。プリン、シュークリーム、コーヒーゼリーも作っていましたがこれらも今はやってません。人気があるのはリンゴたっぷり入ったアップルパイです。さっぱりしてシンプルですね。
― 洋菓子店は厳しいですね ―
長く商売して初めてお客さんがつくから、それまでは大変です。近所に西友しかスーパーがなかった頃は、買い物客でこの宮田商店街の人通りも多く活気ありましたが、他にもスーパーができて人通りが減っちゃった。それに甘いものを控える風潮があるから。季節に合わせた商品開発も必要だし、個人でやるには大変。ですから洋菓子店は2代目がなかなかでません。2018年末に建て替えの話があった時は、もう少し続けようとも考えたけど、建替え後に設備投資しても元が取れないので閉店をきめました。
― そんな厳しいなかでも50年お店をやってこられました ―
地域の中にあるお店ですから溶け込んで貢献することです。お客さんへの親しみが大切。妻と一緒にお店をやっていた頃は、妻が地域活動に積極的でしたし「お客さんには感謝しなさい」と私に言ってました。妻と地域の皆さんのおかげです。この50年間の思い出は、地域の皆さんにかわいがってもらい、ごひいきにして頂いたことです。感謝しています。
― 今でも梅本さんは町内会の清掃や火の用心の見回り活動にも積極的に活動されてますよね(私も参加させていただきました)。それでは、引退された後はどのように過ごされますか ―
これまでは食べ物を商売にしていたので取れませんでした。旅行は20年ぐらい前に行ったきりですから。散歩がてら神社やお寺巡りをしたいです。
― 地域住民の一人として梅本さんのケーキと人柄にとても癒されていました。閉店はとても残念ですが、ゆっくりとお休みください。50年間、本当にありがとうございました。―
SHOP DATA
洋菓子の店 梅本 (定休日:日曜日)
住所:東京都新宿区高田馬場3-10-1
電話:03-3364-1758
(文責:Kohei)