西早稲田にある天下一品高田馬場店の2階にその店はあります。
この写真、若干古いものだということにお気づきの方もいるでしょう。
そう。やたらと主張してくる黄色い看板のラーメン店「用心棒2階」は2016年6月に閉店しているのです。
なぜそんな古い写真が使われているか。その理由は後ほどご説明します。
しかし本稿における主題はラーメンではありません。
お気づきでしょうか?
天下一品及び用心棒2階と、他の店がガンガン主張しているのに比べ、あまりに控えめな赤字に星の旗が垂れ下がっているのに。
これ、とある国の国旗なわけですが、皆さんどこの国の国旗かおわかりですか?
チッ
チッ
チッ
チィーーーーン。
はい、正解!
そう、ベトナムの国旗です。
天下一品の2階と言えば「用心棒2階」というイメージ(現在は中華料理店になっています)が強かったと思いますが、実は2階にはもう1軒お店があるのです。
それが本稿でご紹介するベトナム料理店、その名もベトバル。
しかしこのベトバル、その控えめなたたずまいのせいか、いつ行っても日本人客は少なくてベトナム人と思しき若いお客さんでごった返しています。
用心棒2階に日本人学生が列をなしているのと並行して、ベトナム人学生が階段下まで行列を作っていることもあり、入店を諦めたこともしばしば。
ベトナム人が多いということは、きっと本場の味に近いということ。
そうにらんだアジア大好き高田馬場新聞、とりあえずランチに足しげく通うことにしました。
そうして分かったいくつかのことをお知らせ致します。
このお店、ブンが絶品。
ランチは主にフォーやブンといった麺料理が中心。
価格は具によって690円〜850円で、790円のものが多いです。
上の写真はブンカー。
メニューには「揚げ白身魚とトマトのブン(790円)」と書いてあります。
トマトの酸味とディルがなんともいい仕事をしている。
高田馬場新聞お気に入りの一品です。
続いてこちらは「牛すじ煮込みのブン(790円)」。
よく煮込まれたスジのうまみが絶妙な一品です。
「ブンボーフエ」という、フエというベトナム中部の街の名がついたブンだとばかり思っていましたが、聞けばこれは「ブンソッバン」と言うそう。
牛すじ煮込みのブンとブンカーがあれば、まぁ1週間は生きて行けると思います。
そしてどうやらベトナム人(たぶん)たちの8割くらい(恐らく)が食べているのがコレ。
その名もブンチャー(850円)。
なぜかこのメニューだけが、現地名で書かれている。
「つけ麺」と「スープ」が選べるようになっており、日本蕎麦でいう「ざる」と「かけ」のような違いですね。
こうして何度となく通ううちに見ていると、圧倒的多数のベトナム人(きっと)が食べているのは「つけ麺」の方。
きっと現地の食べ方はこっちなのだと思う。汁が入っている方が日本人は好きな気がします。
ちなみに、ベトナムの麺について日本でよく知られるているのはフォーですね。
ベトバルにもありますが、フォーガーと言う鶏肉のフォーは高田馬場新聞も大好きです。
何年か前にハノイで朝にフォーガーを食べた時の感動と言ったら、天一は総本店が美味い秘密を知ったときくらいですから相当なものです。
では、フォーとブンの違いはいったい何でしょう?
一番大きなものがその見た目の違いです。
フォー、ブン共に原料は米ですが、フォーが平たいきしめん状なのに対してブンは細くて丸いそうめん状。
これは、生地を切り出す(フォー)のと、押し出す(ブン)の違いに由来するものだそう。
さらにブンについては、発酵工程が入るとのこと。
こうした違いが、食味と食感の違いにつながっているようです。
と、ちょっとウンチクが長くなりましたけど、
ベトナム料理って言ったら生春巻きとフォーだよねとか言ってるヘルシー指向風でなんでも上っ面だけをペロッとなめてすぐ次に行くような人には高田馬場新聞は読んでいただかなくても良いので、とにかく黙ってベトバル行ったらブンを食え。
てことです。
言葉が過ぎました。ま、いいか。
とにかくベトバルのブンは、高田馬場新聞の極私的ベトナム料理ランキングの1位の座にあります(2016年秋現在)。
もちろん高田馬場以外のお店を含めた中で、ですっ!!
そうこうして日がなランチに通っているうち、2階にあった用心棒2階が閉店したってわけですね。
月曜定休だから、行ったら休みということも数度あったし。
ちなみにこのベトバル、ベトナム人がやってくるお店だけにベトナム人の方がやっているかと思いきや、高野さんという日本人が、かつてベトナム料理店で一緒に働いていたベトナム人の仲間と開いたお店。
高田馬場にはとくにつながりも無かったそうですが、ちょうど良い居抜きの物件があったのでこの場所に決めたのだとか。
居抜きということもあってだと思いますが、店内はベトナム料理店というよりは若干スナック感が漂うテイストになっています。
そんなところもアジアっぽくて良いなぁと、良い方に解釈してしまいます。
なんせこの物件のおかげで、私は美味しいブンにありつけているのですから、内装がスナックっぽいとかどうでも良いのです。
さて。とりあえずランチは概ね制覇してブンを満喫しまくったので、満を持してディナータイムにも行って参りました。
で、今回ご同行いただいたのはまたしてもこちらのご仁。
高田馬場の看板屋さん「アクト企画」の小田島社長です。
小田島さんには米とサーカスで「虫」を食っていただいたりと、高田馬場新聞では取材のお手伝いをしていただいています。
ちなみに小田島さん、2016年7月に社長就任されました。
小田島さんの社長就任をベトナム料理でお祝いという体で誘いながら、実はがっつり取材です。
まずは揚げ春巻からいただきます。
小田島さん「おっ…うん…ウマい!」
ベトナム料理と言えば生春巻きが知られていますが、高田馬場新聞はどちらかと言うと揚げ春巻きの方が好物です。ちなみにタイ料理店でも生春巻きが出ますけど、あれはトムヤムラーメンで知られるティーヌンの会社「スパイスロード」が広めたんです。そのへんのお話はコチラの記事でご覧ください。
肉のうまみとハーブの香りがあぶらに包み込まれた一体感が口の中で広がります。
スイートチリの甘みがまたよく絡む。
ランチメニューにも+150円で揚げ春巻き(生春巻きも選べます)とドリンクが付きます。
ランチの揚げ春巻きは、その時々で具が変わります。上の写真は豚肉、下のがエビでした。
しかし、どんだけ通ってるんだって話です。
取材っていうより、ただフツーにメシ食いに行ってるだけですね。こうなると。
続いてはベトナムのお好み焼きと言われるバインセオ。
お好み焼きと言っても見た感じだけのことで、味も食感もぜんぜんそれとは別物。
薄めの生地に挟まっている具と共に葉っぱでくるんで
ソースをかけてむしゃぶりつきます。
黄色いのは色からしてサフランだと思いますが、なんとも香りがいいんです。
揚げ春巻きがトップバッターだとすると、バインセオは間違いなく4番。
小田島さん、もう美味いとかいわずにひたすら食べています。
これは間違いなく気に入っている。
そしてちょっと変わったところで、こんなのも頼んでみました。
名前はホビロン。2番バッター的な位置づけ。
どっかの国の妖精みたいな名前ですがこれ、孵りかけのアヒルの卵をゆでたものです。
名前と裏腹に、パンチのある見た目。
小田島さん、こういうのは無理かと思いきや、意外に平気な様子で食べちゃいました。
小田島さん「だってこれ、ちっさい鶏ですよね? うん。ゼンゼン平気っす」
ホビロンで、さそりの時みたいなイイ顔を撮ろうともくろんでいただけにやや期待はずれですが、とりあえず喜んでくださっていたようで良かったです。
もう少しハードルの高い代打の切り札みたいなメニューもあるんですが、それはまた次の機会にご紹介するかもしれません。
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SHOP DATA
ベトバル
住所 東京都新宿区西早稲田3-20-4
電話番号 03-6273-9007
営業時間 ランチ12:00〜15:00
ディナー17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日 月曜日