それは、うるう年の2016年2月29日の朝のことでした。
いつも見慣れた高田馬場駅の光景が一変していました。
この写真を見てそれがなにか、気づきますか?
そう!
たくさんの手塚キャラクターたちが描かれた、我らが高田馬場のシンボルである「壁画」がなくなっていたんです。
西武線側も
JR側も。
これは一体どういう……とかいいつつ、実はこの件については手塚プロダクションから事前に情報をいただいていました。
さらに教えていただいたのが、施工を担当しているのも高田馬場の企業だということ!
せっかくなのでおじゃましてきました。
場所は高田馬場1丁目。
早稲田通りから文具のマルシメのある角を南へ入り、諏訪公園を過ぎた当たりにある、屋外広告の会社「キッズプロモーション」。
中に入ると打ち合せスペースから執務室に入る扉の上には見慣れた景色が。
あ!これ例の壁画じゃない!
そんでもって、ちっちゃ!
聞けばこれは、壁画が完成した時(2008年3月)に記念品として作ったもの。
壁画制作に関わった方々に配られたそうです。
そして壁画は2年に一度、鉄道会社が橋脚の保安検査を行うため、はがして張り替えを行うことに。
2008年、2010年、2012年、2014年と来て、今年2016年は5回目の張り替え年に当たるということで、2月の終わりの土曜深夜にきれいサッパリ剥がされた、というわけでした。
ホントは剥がしているところの写真も撮りにいこうと思っていたのですが、土曜日の夜にご飯食べてビール数本飲んだらどうにもこうにも眠くなっちゃって行けなかったんです m(__)m。
だから貼っているところは何としてでも撮りに行かねば!と思いながら、貼り作業をいつになるかの連絡を待っていました。せめて平日なら残業してから行けるしな〜とか虫の良いことを考えつつ。
手塚治虫だけに(笑)。
そしたらね。
来ましたよ、連絡が。
キッズプロモーションさん「もしもし〜。例の壁画の作業ですけど、3月5日土曜日の23時くらいからやりますんで〜」
まぁ確かに施工をする上では人通りが少ない方が安全管理の点で良いわけです。
しかしこの日は寝てしまうわけにいかないので、外食をしてそのまま高田馬場へ向かう(あ、高田馬場新聞の自宅は高田馬場じゃないんです)ことに。
まぁ、ビールはちょっと飲んじゃいましたけど。
で、23時過ぎくらいにふらりと高田馬場までやってくると、作業は始まっていました。
西武線側は、橋脚を壁画を貼る時に補修をしたそうで、壁面が平滑。
なので、壁に直貼りで作業を進めて行くことができます。
JR側は壁面が平滑ではないので、まず土台となるパネルを貼るところから。
橋脚にパネルを打ちつけて行きます。
この日は寒い夜でした。
そんな中、着々と作業は進んで行きます。
西武線側も同じくちゃくちゃくと。
探検隊っぽいヘッドライトを付けて手元を照らしています。
するとやはり皆さん気になるようで、張り替えについて質問をする方もチラホラ。
写真を撮っていく方もいらっしゃいましたね。
そうこうするうち、西武線側はほぼ終わりに近づいてきました。
仕上げに額装をするように、透明のアクリルでフレーム状の装飾をしたら完成です。
ちなみにこのアクリルでフレーム状にしているところ、高田馬場の伝統産業である染め物から、小紋の柄を採用しています。
実際に使われている型から柄を起こしたそうです。いろいろ手が込んでいます。
JR側はパネルを貼り終えたので、シートを貼っていきます。
と、このあたりで既に深夜2時前。
カラダも芯まで冷えて来たのでやむなく退散しました。
このようにして、人の少ない時間帯に働く人たちによって、私たちの街のシンボルが維持されているということなのですね。
この様子が見られるのは2018年の3月ごろ。またその時を楽しみにしておきましょう!