さかえ通りに唯一無二のお店がある。
そんな噂を聞きつけて、行ってきました。

場所はと言うと、さかえ通りの奥の方。
通りすがりにはなかなか気づきにくい、ビルの上の方に看板が出ていました。

ビーフラット外観

ほら。この赤色の線で囲ったところですよ。
うーーん。これはわかんないですよね。
実際のところ、教えてもらうまでこの看板知らなかったですもん。

♪カランコロンカラーン(お店に入るイメージ)
高田馬場新聞「こんにちは〜」
ビーフラット
お。このお店はどうやらバーらしいです。
営業前の明るい時間におじゃましたので、夜のそれとは違う佇まいなのでしょうね。

オーナーの二ノ宮さん、通称ニノさんにお話を聞くことにしましょう。

ビーフラットのニノさん
高田馬場新聞「こちらはバーなんですよね」
ニノさん「そうです。ビー・フラットといいます」

ビーフラット
窓にデカデカと掲げてあるこちら。
たしかに「Bar B♭」と書いてあります。

高田馬場新聞「こちらはいつから?」
ニノさん「2010年の12月にオープンしたので、もうじき5年になります。以前は西友の向かい側にあったロックバーで、店長をやっていました」
高田馬場新聞「へぇ、ロックバーですか。そのお店は今は?」
ニノさん「もう閉めちゃって、今はありません。僕、ESPっていう専門学校の卒業生で。ロックバーはその時の先生がオーナーだったんですよ」
高田馬場新聞「ほぅ。ということはビーフラットっていう店名もそこから?」
ニノさん「いいえ! フラッと入ってこられるお店にしたいな〜って。なんせ僕、一番好きなバンドがTUBEなんで!音楽とか詳しくないんすよ」
高田馬場新聞「!!!」

 

おっと。
出だしからキナ臭い雰囲気が漂いはじめましたよ。

ニノさん「まぁまぁ。とりあえず、ビール飲んでくださいよ」

ビーフラットのヒューガルデンホワイト
やおら赤いジャージを脱ぎ、サーバーからビールを注ぎ始めるニノさん。
キマッテマす。

ニノさん「はい。ヒューガルデンホワイト、どうぞ!」
ビーフラットのヒューガルデンホワイト
おぉ。ヒューガルデンホワイトの生ですね。
1杯目に飲みたくなるフルーティなベルギービールです。

なんだ。ちゃんとしてるじゃない。
見ればカウンターにはスピリッツのボトルが並んでいます。
これは期待できるかも!

高田馬場新聞「うーむ。じゃぁ2杯目はウィスキーにしようかな。どんなのがおすすめですか?」
ビーフラット
ニノさん「あ、ごめんなさい。僕、お酒あんまり詳しくないんスよ。飲みたいの、頼んでもらえます?」
高田馬場新聞「・・・・・・」
ニノさん「お酒のこと詳しいお店でしたらお教えしますよ。近くに良いお店ありますから」

やはり!いよいよ怪しくなってきましたよ。

高田馬場新聞「あっ。そっか。ここはダーツが売りなんですね!」
ビーフラット
ほら。ダーツ置いてあるし。

ニノさん「あぁ、でもウチのスタッフってみんなダーツめっちゃヘタなんですよね。以前、道場破りじゃないですけど、スタッフに対決挑んでまわっているってお客さんがいらっしゃった時には、相当がっかりしてましたね(笑」

うぅむ。やはりなんともつかみ所が無い。
そして極めつけがコレ!
ビーフラット
ぐわぁぁ!
ヤクルトグッズがてんこ盛り!
池山選手の等身大パネルを筆頭に、ユニフォームがいっぱい!!!!

ニノさん「僕、スワローズファンなんです」
高田馬場新聞「はい。それはすぐわかります。」

あっ!てことは、あれか!
高田馬場新聞「よくある阪神ファンが集う店、的なことなんですかね??」
ニノさん「いやぁ、そうなればいいんですけどねぇ。でもスワローズファンのお客さん、ほとんどいらっしゃらないんですよね」

もう、お店の軸が全然見えてきません。

ニノさん「僕、小学生のとき、応援団になりたかったんですよ。だから吹奏楽クラブに入ってトランペットやりました。でも、入部して半年後に知ってしまったんです…」
高田馬場新聞「……今度はいったいなんですか?」
ニノさん「応援団って、職業じゃないんだって…」
高田馬場新聞「・・・・・・」

「あとニノさん、野球やったことなくて、小学校から20歳くらいまでサッカーやってたんだよね」
ビーフラットしんちゃん
振り返ると、料理担当スタッフのシンちゃんが。
ニノさんミステリーにさらにネタを投下していきます。

シンちゃん「あと極めつけは、ニノさんスワローズが好きすぎて好きすぎて、サインもらいにいけないんですよ」
高田馬場新聞「え!それはつまりどういう???」
ニノさん「あぁ。緊張しちゃって、サインくださいとか言えないんです」

もう、なんかミステリーにもほどがあります。 ビーフラットニノさん
ニノさん
「まぁ、僕らいろいろバグってますからね」
高田馬場新聞「えぇ。や、ほんと、まさにバグだらけですよ。どんな切り口で記事にしようか、絶賛悩み中ですって」

ニノさん「まぁ自分ら、性別もバグってますしね」

高田馬場新聞「????」

ビーフラットしんちゃん
シンちゃん「あれ、ニノさん、まだ言ってなかったの?」

ニノさん「あ、そうか。ここ、おなべのお店なんすよ」

高田馬場新聞「・・・・???て、ことは」
ニノさん「ぼくたち、いわゆるトランスジェンダーなんです」
高田馬場新聞「・・・・!!あーーーそうなんだ」
ニノさん「ま、見た目わかんないですよね」
高田馬場新聞「うん。ぜんぜん」

しっかしこれまた思いがけないの来たな。

でもまぁいっか。この人たちおもしろいし。
ということで取材を続けます。
リーフレット

シンちゃん「ニノさんは、GIDmediaっていうNPO法人の代表で、テレビにも出たりして、僕らの世界ではけっこうな有名人なんですよ。僕も新潟から東京へカウンセリングを受けに出てきた時に、この店にお客さんとして来たのがきっかけで、いつの間にか働くことになったんです」
高田馬場新聞「『相手に理解を求めるのではなく』ってなかなか深いですね」
ニノさん「そうですね。2006年に団体を立ち上げた頃は、知ってもらうってことを中心にやってきたんですけど、ある程度の認知もされてきた現在は、僕らも相手に『理解してください!』ってのだけじゃぁ駄目だよね?ってところに方針を変えてきています。これ結構難しいんですけどね」

リーフレット
なんだか話の方向が急展開して、まじめ感が高まってきました。

ニノさん「たしかにNPOの活動の場所として使えたらなという想いもあって、このお店はやってます。でもバーの時間帯は、当事者の人たちも来ますけど、それ以外のお客さんもいっぱい来てくれてます。ヘタクソなダーツも、うんちく語れないお酒も、サインがもらえないスワローズネタも、どれかに興味持ってもらえればそれでいいですよね」

ビーフラットニノさん
ニノさん「あ、店名の『Bar』の後に『!?』ってなってんのも、バーですら無いかもしれない!?っていう、そういうことで、後から書き足したんですよ」

確かにバーかと言えばバーではないし、おなべの店感もないし、ダーツバーでもないし…。
でも、なんかそういうお店があって良いな、と思える雰囲気。
それはニノさんが投下する数々のバグとか、スタッフが醸してる雰囲気によるものなのかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。

ビーフラットのスタッフさんたち

新潟の洋食屋で働いてたシンちゃんが作る食べ物が充実してるのも、お店のウリであり、バーっぽくない1つのポイントでもあります。

ビーフラット

まぁ、なにはともあれ、一度この高田馬場のミステリースポットへ、迷い込んでみることをオススメしますよ。

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SHOP DATA
Bar!? B♭
住所   東京都新宿区高田馬場3-5-6 月の雫ビル 3F
電話番号 03-6279-1544
営業時間 18:00~LAST
定休日  第1・第3水曜日
土曜営業 日曜営業 祝日営業


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