高田馬場新聞読者の皆様をつなぐ、facebookグループがあります。
その名も「高田馬場新聞グループ」と言います。
普段はごはんを食べたお店の紹介だったり、神田川の桜の写真だったりと、メンバーのみなさんによる「ご近所情報」が投稿されるほのぼのしたグループです。それが2020年春の緊急事態宣言あたりでちょっと様子が変わりました。
まず、外に出にくくなくなって近所の情報を求める人が増えたせいか、メンバーとして入ってくる人たちがグンと増えました。
メンバーが増えるのにつれ、皆さんの投稿も増えていき「実際に会ったことはないけど、すぐそばにいるご近所さんがこんなにいる」というつながりの実感からか、新しいご近所づきあいが生まれていきました。
グループの皆さんの協力を得て、高田馬場・早稲田テイクアウトマップを作ったり、グループの皆さんに飲食店などを応援する記事を書いていただいたりする動きもありました。
そんな動きを見せはじめていた高田馬場新聞グループに4月4日、1件の投稿がアップされました。
時はまさに緊急事態宣言が4月7日より出されるという直前。
世の中が先行きの不安感にざわざわしていたことを記憶しています。
はじめまして。普段色々と拝見させていただいてますが初めての投稿となります。普段 板前として働いておりますが「寿司屋」ということもあり今回のコロナの件で 営業自粛となりました。高田馬場在住で当面 自宅での生活をすることになりましたが、何か出来ることがないかなと考えて。地域の皆様もこのような状況ですのでなかなか外出もできず、自宅での時間が多くなると思われます。もちろん 自宅でのお食事の時間も。そこで、ご自宅の包丁を研がさせていただけないかと。何か力になれることがないかなと考えた時に思い浮かびました。ボランティア活動の一環ということでお代などいただくつもりもございませんし少しでもこの時間を有効活用したいなと思いです。近くの方、もちろん近くなくてもですが気軽にご相談ください。ご家庭の包丁をきれいにそして切れ味を回復させます。
その投稿をしてくださったのが依田太喜さん。
投稿にはたくさんの反響があり、相当な数の依頼があったそうです。
そして令和の時代に包丁研ぎという絶妙な取り合わせがキャッチーだったのでしょう。この話題は高田馬場経済新聞で取り上げられたのを皮切りに、新聞やテレビでも取り上げられていきます。
コロナ禍という先の見えない不安感が世界を包む中、包丁研ぎがつなぐ近所の縁というあたたかな話題は、グループのみんなの心を温めてくれました。
そんな依田さんが「かねてより考えていた独立をしようと思う。ついては縁のできた高田馬場で出店しようと思う」そんな表明をしてくださったのも高田馬場新聞グループでのことでした。
お疲れ様です。皆様にご相談がありまして。詳しいこともまだ何も決まっておりませんが自分の夢である 高田馬場での寿司屋の独立を考えております。そのためには色々と準備も必要になってくるわけですが、やはりお金の問題も重要で。資金調達等の知識がないため頭を抱えております。銀行からの融資やクラウドファンディングなど様々な形があると思いますがどなたか詳しい方、ノウハウがある方、いらっしゃらないでしょうか。もし可能であれば お力を貸していただけないでしょうか。
これが6月12日の投稿です。
こんなのもう、高田馬場経済新聞かつ創業をサポートするシェアオフィス&コワーキングスペース「CASE新宿」の運営者である森下さんにお繋ぎするしかない事案!ということで、早速お話を進めていきました。
そこから秋が過ぎ、冬が来て、年末には融資が決定。物件も既に押さえてあるといいます。
そして2度目の緊急事態宣言もあけようという3月の半ばごろ。「4月1日にオープンします!」という、待ちかねていたご連絡が入りました。
プレオープンにご招待いただけるということで、喜び勇んで行ってきました。
場所は高田馬場4丁目。西友の少し先、道路の反対側になります。
1Fにはスマートフォンなどの修理店。2020年夏まで日本酒を出す「ふじ野」があった場所です。
ふじ野は「高田馬場日本酒めぐり」にも参加してくださっていたお店。2020年の日本酒巡りが開催できなかったまま梅ヶ丘へ移転。移転は残念ですが、その場所にまた新たなプレーヤーが入ってきてくれたことをまずは喜びましょう。
店名は「おすしや太喜」。依田さんの名前ですね。「たいき」と読みます。
業態についてうかがうと「寿司居酒屋」とのこと。
居酒屋というと軽いですが「お寿司屋さんに行ってもそんなにコメばっかり食べられない」問題を抱える胃袋小さい民である高田馬場新聞としては「待ってました!」な業態のはず。
クイクイ飲んでさくっと食べるニーズを満たすお店の予感がします。
というわけで、お待ちかねのお店紹介をしていきましょう。
こちらの気合入ったヘアスタイルの若者が依田太喜さん。
依田さんの背後には、その日のメニューが書かれた黒板がぶら下がっています。
お酒はビールでも、日本酒でも。
プレオープンのこの日、お通しはアイナメの昆布締めでした。
気になるメニューも撮っておきましたよ。
コースもあるようです。
あとは刺身の3点盛をつまみながら
梅干しの茶碗蒸しを食べたり。
青柳とネギのバター炒め
玉子焼きです。
玉子焼きについても、高田馬場新聞グループのみなさんに試食アンケートを行うなど「開店する前にいかにしてファンを作るか」という、新事業を始める上で非常に重要なことをひとつずつ重ねていった依田さん。
ただのほっこりエピソードというだけでなくて、これから新事業を始めようとするすべての人に知ってほしいお話だと思いました。
そろそろおなかもふくれてきた(こんなもんで?!というクレームは受け付けません)ので、寿司をいくつか握ってもらうことに。
隣にアジなどが運ばれるのを横目にしながら悩みに悩んで、刺盛りで美味しかったカマスをにぎりでいただきました。
イクラ。
スジコというのも選択肢にあって迷いました。
で、海苔の香りに誘われるかのように最後はトロたく巻。
お酒もいただいてお腹いっぱいです(こんなもんで?!というクレームは受け付けません)。
しばらくはお母様との2人体制での営業になるそうです。
お母様がまた素敵なのですが、そのあたりは実際にお店に行かれて感じてみてください。
この街での飲食の新しい選択肢の一つとして、いかがでしょうか。
SHOP DATA
おすしや太喜
新宿区高田馬場4-12-7 ニューハイツ高田馬場201
Tel.03-4362-8786
営業時間:17:00-(閉店時間は状況により変動)
定休日:なし(様子を見ながら決定)
※お電話される際は「高田馬場新聞を見て」と言っていただけると、編集長が喜びます。