アトム通貨、という言葉を耳にしたことはありますか?
または見たことがありますか?

ほら、こんなの。

持っているあなたは、この街になにかしらの貢献をした人ですね。

以前、内藤とうがらし再興プロジェクトの記事でも取り組みについて触れましたが、今回は「アトム通貨」そのものにフォーカスを当てたお話です。

1つ前の記事でご登場頂いた手塚プロダクションの石渡さん(左)と日高さん(右)に、引き続きお話を伺いました。

石渡さん
「アトム通貨は早稲田・高田馬場の街で、地域コミュニティーを育み、街を活性化させるために生まれた地域通貨です。
先にお話しした通り、高田馬場でアトムの誕生日を盛大にお祝いしてくださったことに対して何かお返しができないか、と模索していた中でできたものです」

日高さん
「当時から高田馬場西商店街では、清掃活動や子どもの見守りに積極的に取り組んでおられました。
その活動は、地域通貨との相性がとても良いんですね。そんなタイミングで、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)の職員から高田馬場西商店街の飯田会長(当時)に地域通貨導入についての提案がありました」



ここで補足をしておきますと、
地域通貨は地域振興券とボランティアマネーに二分されますが、アトム通貨は両者のイイトコ取りをした通貨です。

商店や住民、学生などが中心になり、地域のコミュニティ育成や街の活性化を目的とした活動を行い、その参加者に通貨が配布されます。参加者が増えること=街をより良くすることにつながります。


石渡さん
「その理念は、手塚が『ガラスの地球を救え』に記した想いに相通ずるものです。
そんなご縁があって2004年4月7日、単なる地域通貨ではなく『アトム通貨』というオリジナリティの高い地域通貨が誕生しました」

アトム通貨が配布される活動は、「環境」「地域」「国際」「教育」の4テーマのどれかに沿った社会貢献活動です。

例えば「環境」のテーマに沿った清掃活動や、打ち水に参加することでアトム通貨を入手できます。
入手したアトム通貨は1馬力=1円として、加盟各店舗で使用することができるのです。
加盟店舗情報はコチラから

現在では180店舗が加盟。北は札幌から南は八重山・石垣まで、全国に支部が拡大しており、相互利用も可能になっています。全支部での合計流通金額は年間2000万馬力になるそうです。

アトム200人分ですよ!

って…驚くとこ、そこ?(笑)

ちなみに早稲田・高田馬場支部では約6割が店頭での配布、4割がイベントで配布されています。



石渡さん
「コレクターの方も結構いらっしゃいまして。アトム通貨が同期づけとなってボランティアを集めることができるという好循環も生まれています。子どもたちにとっても“自分が良いことをした”ことを証明する勲章のようなイメージで捉えてくれているようです」

日高さん
「管理の都合もあり、アトム通貨のデザインは毎年変わります。10馬力・50馬力・100馬力・500馬力の4種類、しかも全国に9支部ですから、種類とすれば膨大になります。そこもコレクター心をくすぐるみたいですね」




ちなみに早稲田・高田馬場支部の運営は、早稲田大学の学生さんたちが担当しています。
アトム通貨実行委員会 早稲田・高田馬場支部の事務局長、松田さんにも会ってきました。

松田さん
「私たちは主に加盟店とのコミュニケーションと、通貨を流通するためのイベントの2つの役割を担っています。
イベントには、自分たちが主催するタイプのものと、地域イベントに出展するものとがあります」

高田馬場新聞
「イベントはどのようなものがありますか?」

松田さん
「夏には早稲田学内で行う“打ち水大作戦”があります。これは早稲田生に向けたアトム通貨の認知促進と、エコ意識の啓発を目的として開催しています。あとは鶴巻町フェスティバルや西早稲田子供天国、地球感謝祭などに出展しています」

松田さん
「ところで、前にどこかでお会いしてませんか???」

高田馬場新聞
「あぁそう言えば、先日の内藤とうがらし苗を配布してましたよね?私もそこにいたので」

松田さん
「あ!そうですね。内藤とうがらし再興プロジェクトもアトム通貨での取り組みです」

高田馬場新聞
「なるほど。地域の産品を生み出す、ということですね」

松田さん
「その他にも“てらこや”といって、江戸時代の寺子屋さながら学生団体がそれぞれの活動経験を活かし、子どもたちに何かを教える活動も昨年から始めています。
例えばWASENDという防災教育をしている団体では、子どもたちに危険な場所を知るためのハザードマップを作る教室を開催する予定です」




このように、早稲田・高田馬場に住む人、働く人、学ぶ人の接点を創出する取り組みがあり、アトム通貨がそれぞれを繋ぐパイプ役を担う。
これ実は、高田馬場新聞を立ち上げた時の想いと全く同じものです。
もちろん私たちは全く後発ですし、取り組みの規模など及びもつきませんが、同じく地域のことを考えるもの同士、できることはいろいろあるのだろうなぁと勝手ながら未来をイメージしてワクワクしています。




ちなみに導入から10年を過ぎた今、アトム通貨への注目度はかなり高まっています。
ちょうど本記事の取材を進めていた6月にはNHKのEテレ「オイコノミア」、月刊商業界14年08月号で取り上げられています。

そしてさらに!
岩波新書のロングセラー『新・世界経済入門』にもこの度、取り上げられています!
早稲田大学西川名誉教授の著書の改訂に伴って、5ページにわたり紹介されています。

注目を集める地域通貨「アトム通貨」を手に取る機会もきっと増えることでしょう。
今後の展開が楽しみですね。

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アトム通貨 早稲田・高田馬場支部
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