サイトアイコン 高田馬場新聞

夜9時からケーキが売れだすAVANÇONSの朝はその日も早かった。

早稲田通りを戸塚第二小学校を超えて、早稲田よりに少し行ったあたり。
ポツンと小洒落た一角が現れます。

オープンエアのカフェスペースでしょうか。
左のサインを見ると、1Fがカフェ&ドルチェ、2階にレストラン、3階はバンケット(宴会場)とあります。

こちらが1階のカフェ&ドルチェ、AVANÇONS(アヴァンソン)です。

パティスリーとありますから、いわゆるケーキ屋さんのようです。
以前はパン屋さんだったのを、2014年2月にリニューアルしたみたいですね。
AVANÇONS(アヴァンソン)とは、フランス語で「進化」という意味。

さてさて、パン屋からパティスリーにどんな進化を遂げたのでしょうか。

中に入ってみましょう。
この日(10月下旬)は、ハロウィン気分を全面に押し出した装飾がされていました。

板張りの床があったかい雰囲気です。

焼き菓子が並んでいますね。

そしてカウンターのチルドケースは、もちろんケーキでいっぱいです。

 

ホールケーキもいろいろありますね。

黒いチョコレートが苦手な高田馬場新聞には、なかなか厳しそうなのとか

季節のタルトなんかもあります。

 

そして店内を奥に入って行くと、カフェスペースが。
わぁ、ランチタイムやカフェタイムはここが女子でいっぱいになります。

外国の方が寛いでいるのもよく見かけます。
高田馬場周辺にはあまりない雰囲気ですね。

…と、ここまでなんとも気持ちの入らないレポートですね。
すみません。
なんせ高田馬場新聞、甘いものがあまり得意でない中年男。

じゃぁなんでわざわざ取材に来たんでしょうか。
それはですね〜

その理由がコレ!!

え、エクレア??…

いやいや、そうじゃなくて(笑。
お菓子作ってるところを見せてくれるっていうからなんですよ。

ほら!

ほら〜!

ものづくりの現場って楽しくないですか?ワクワクするでしょう!
ウズウズしませんか?

あれ?……あんまりですか??
萌えません??
そんなこと、ない、、よね?

気にせず行くよ!

どうですか!
シュークリームがいっぱい!!

高田馬場新聞、こういう手作業の現場が大好きでして、これ見たさに取材に来たんですね。
取材に伺ったこの日の時間は朝8時。
既にパティシエの皆さんが仕込みをしておられました。

おじゃまにならないようにその様子をのぞいてみましょう。

こちらでは“ろくろ”みたいな台で、ケーキの土台にクリームを塗っています。
ちなみにこのアヴァンソン、パティシエが5人もいるそうです。

もちろん彼女もパティシエさん。
ろくろを使わせたら私の右に出るものはいない、なんてことは言ってないとは思いますが

くるくる〜♪

あっという間に真っ白なケーキの土台ができてきました。

と、こちらではクリーム絞りの真っ最中。

ぴょこ、ぴょこ、ぴょこっ ♪

かわいいまぁるいクリームが、タルトっぽいチーズケーキの上に飛び出てきます。

おっと!お次は

ゆぅきぃがぁふ〜る〜♪

あなたは来ない〜…なんてことは誰も言ってませんが、とにかく繊細な白いパウダー上の粉末がタルトの上にふぁさりふぁさりと舞ってゆきます。

あ!

ふぁさりふぁさりがコチラにもっ!!
もう、こちらアヴァンソンはふぁさり祭りの真っ最中です〜ってな様相。

なんせパティシエさん5人のうち4人がほぼ同時にケーキの仕込みをやってますから、そっこらじゅうでふぁさってたりケーキが回ったり、はたまたクリームが練られては絞られてを繰り返しているわけ。

そうこうしながら、ケーキはどんどん完成まっしぐら。
もうこうなってくると、気分は嫁入り前のソレですね。

お店のタグを乗っけられて、後はお父さんとの挨拶を残すのみ。
こんな私を…って例のアレ…

じゃなくて。

あとは店頭に並ぶのを待つのみ。
そう言えば、松の実って美味しいですよね。

そんなこと考えてると、シュークリームが松ぼっくりにも見えて来ました。
あぁ、なんか脱線が多いです今日。

仕上げのクリームでさらに化粧したら、雪をふぁさり。

金粉で彩りを添えたチョコをオンして出来上がり。
シュークリームができるまでって、それだけですてきな絵本ができそうですよ。
めちゃ楽しい。お菓子ができるのを見てるのって。

前に練り物ができるところを見せてもらったのを思い出します。

ア〜〜ッ!

そう!
この日はなんと、ケーキ作りの花形とも言える工程を見る幸運に恵まれました。

お祝いとかのアレを書くところです。

シェフは手慣れた感じでスイスイとチョコのペンを走らせて行きます。
高田馬場新聞は不慣れな感じで横からグイグイ覗き込んでいます。
もちろん邪魔をしてはいけません。

たかし〜〜!

何年前かの日の、たかしはこの世に生まれた。
そして今日、それを祝ってくれる人がいる。
そのケーキができる場所に、僕(高田馬場新聞)がいる。

ケーキのプレートに名前が刻まれていくのを見ているだけで、知らない誰かの人生を想像できるだなんて思っても見ませんでした。
たぶんケーキが持つファンシー力のような何かが、中年男性に魔法をかけたのかもしれません。

ちなみにこのアヴァンソン、ケーキが21時を過ぎてから結構売れるそうなんです。
聞くと、この周辺の会社などで、急に誕生日のお祝いかなにかをやることになって買いにくるのだとか。
確かに高田馬場新聞も、当日慌てて買いに走った記憶があります。
「え、君、今日誕生日だったの??え?しかも今日特に予定が…無し?」みたいなやつですね(笑)。

おっと。いよいよケーキが嫁入りディスプレイされる時間がやってきたようです。

 

開店前のケーキ屋さんのディスプレイは、静寂に包まれた空間。
そこへ1つ、また1つとケーキが置かれていきます。

ここでふと気づいてしまいました。
奥に置かれた子の方が、手前の子より売れ残りリスクが高いという厳然たる事実に。

そうか。
運命って、こういうことなのか…。

見た目や味の違い、大きさで選ばれるならまだわかる。
だってそれは個性だもの。

でも、置かれた順…つまり作られた順によって嫁に行く売れてゆく順番が左右するだなんて。
置かれた場所で咲きなさい、って言われたって…そんな先頭のケーキの不安な気持ちが伝わってきます。

このパティシエさんは、そんなケーキ界の不平等に気づいているのでしょうか。
今度から「あ、手前のやつください」って言うようにしよう。

ケーキづくりの現場で早起きでトクしまくりやーとか思っていたところに、不意に訪れたやるせないこの気持ち。どうしたらいいのか。

!!!

そんな高田馬場新聞の心情を察してか、吉報が飛び込んできました。

馬場ロール???

馬場ロールとは、アヴァンソンが地域に根ざしたお店になろうと言う思いで作った、ご当地「高田馬場」の名を冠したロールケーキ。
早稲田・高田馬場でその昔、稲作がされていたというところから、米粉で作ったモッチリとした風合いが特長なのだそう。
青柳の栗まんアトムと並び、高田馬場の手みやげとしてもっと知られていくといいですね。

ちなみにこのアヴァンソン、ランチタイムには2階のイタリアンレストランで仕込んだサンドイッチなど、ランチメニューもワンコインからあるそうなので、ケーキを楽しむ以外の使い道もありそうですよ。

夜22時(日曜は21時)までやっている、パティスリーAVANÇONS。
5人のパティシエが、毎日お店で手作りしていますよ。


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SHOP DATA
AVANÇONS
住所   東京都新宿区高田馬場1-25-30 1F
電話番号 03-3205-9181
営業時間 月〜土10:00~22:00
日曜日10:00~21:00
定休日  無し
ランチ営業、日曜営業

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